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幻想郷のゴミ箱

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東方異界記 ~第4話 あともう少し・・・~

あらすじ
恐ろしくも寂しがりやなフランドールをどこだか放っておけない向日葵は
魔理沙とともに紅魔館を後にした。

冷次は映姫に言われたとおり、ただ扉が開くのを待つ。

アリスは妹紅に「蓬莱の薬」をもってこいといわれ、永遠亭に忍び込むのであった。







永遠亭。
竹林の奥深く、誰もあまり立ち寄ることのない場所に、それはあった。
ここには地上の兎、月の兎が住んでいる。
住んでいる、というよりは・・・
永琳「ふぅ、また持ってこれなかったのね。 少しお仕置きが必要?」
鈴仙「違いますよお師匠! てゐにまた邪魔されて・・・!!」

――――八意永琳。
永遠亭の住人で、月の頭脳とも呼ばれている天才薬剤師。
よく人里に出ては自作の薬を販売しているらしい。
人里のお医者さんとも呼ばれている。

――――鈴仙・優曇華院・イナバ。
永遠亭で永琳の助手をしている月兎。
使い走りになってはよく地上の兎、因幡てゐに邪魔されたりして永琳に怒られている扱いの可愛そうな月兎である。

永琳「・・・まぁ、 わかってるわよ、それくらい」
ほっと一息つく鈴仙。
永琳もちょっと困った顔をしながら深々と椅子に寄りかかった。
永琳「しかし困ったわね、千寿万草がないと新しい薬が作れないというのに・・・困ったわね」
てゐ「はぁー疲れた、持ってきましたよー」
ひょっこりと廊下から顔を覗かせたのはてゐだった。

――――因幡てゐ。
幸せを呼ぶいたずら好きの地上の兎。
地上の妖怪兎の中では最年長らしい。

てゐが千寿万草を永琳に手渡すと、永琳はやさしく微笑んだ。
永琳「ありがとうてゐ。 いつもご苦労様」
そういって1本の小瓶を取り出した。
青く透き通った液体がその小瓶に入っている。
永琳「報酬よ、ただの清涼飲料水だけど」
てゐが小瓶のコルクをあけ、一気にのどに流し込んだ。
今日は暑いせいか、てゐもよっぽどのどが渇いていたんだろう。
あっという間に小瓶は空になった。
しかし、それは後に悲劇を起こすことになろうとは、てゐと鈴仙には想いにもよらなかった。
永琳「じゃ、お薬ができたらまた呼ぶからそれまで自由にしてて頂戴」
鈴仙とてゐは永琳の個室を後にし、長い廊下を歩くのであった。


一方のアリスは・・・。
アリス「ここね」
ひとつのふすまの前に立って、ある人物の名を確認した。
律儀にもその人物の名はふすまにかかっている札に書いてあった。

――――蓬莱山輝夜。
永遠のお姫様。
御伽噺の竹取物語のヒロイン的存在、何人かの貴族に求婚されて全部振ったとか。
彼女もまた不死の身であったりする。

恐る恐るふすまを開け、中を確かめた。
・・・。
輝夜は寝ている。
意を決し、アリスは足音を殺して中に入っていった。
アリス「・・・にしても散らかってるわね、見たことない機材ばっかり置いてあるわ」
不思議な機材ばかりが部屋に散らばっていた。
妹紅に言われていたものは・・・
アリス「あ、あったわ」
そういって手にしたのはDoragon Warrior9と書いてある黄色い長方形の固体。
何やら可愛らしげな女の子が龍に立ち向かっているシールが張られている。
アリス「何かしら・・・ホントわけわかんないわ」
アリスはそれを持ち、そそくさと部屋を出て行った。


妹紅の隠れ家。
妹紅「よくやった、助かったよ」
アリスから例のものを渡され、妹紅はほっと一息ついた。
アリス「ほら、渡したから約束のものをよこしなさいよ」
妹紅「あぁー、あの机の上においてあるやつがそうだ。 だが言っておくがそれを飲んだら本当に後悔するぞ?」
アリス「私が飲むわけじゃない」
妹紅「そうか。 それよりデータは消えてないかな」
アリスは机の上の小瓶をポケットにしまい、また何か言われる前に家から出ることにした。
妹紅はそれには目もくれず、テレビのスイッチを入れ、ゲーム機にカセットを差し込んでデータの確認を始めた。
妹紅「・・・・」


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 ニア かぐや    Lv99
     おひめさま Lv87
     てゐ     Lv99

妹紅「・・・」
すくっと立ち上がり、家から飛び出た。
妹紅「あっの野郎今度こそぶっ殺してやる!!」
そういって風よりも早く永遠亭へ飛んでいった。




川の辺。
冷次「・・・・・・・・・・・」
冷次はただ目の前に立つ扉が開くのを待っていた。
その隣で退屈そうに小町は大あくびをした。
女というのに実に男らしい・・・。
小町「ふぁ、あぁ~・・・。 なぁ冷次、そろそろご飯食べないか? あたいが作ったおにぎりでも食べて少しはリフレッシュしたほうがいいと思うがなぁ~」
冷次「あいにくだが間に合っている」
小町「ちぇー」
小町の誘いを悉く流し、冷次はただひたすら待った。
小町「・・・あぁ~、退屈だなぁ」
冷次「・・・・・・」
小町「・・・・・むっ」
小町がしかめっ面をして冷次に歩み寄った。
小町「なぁなぁ! 待ってれば開くんだからそれまであたいと・・・」
冷次「別に仕事に戻って俺一人にしても構わないんだぞ」
小町につーんと冷たくする。
それにちょっとショックを受けたのか、小町はペタンと地面に座り込んだ。
小町「あぁあぁわかったわかった」
冷次「・・・ひとつ聞きたい」
待ってましたといわんばかりに小町は飛び上がった。
冷次「何故仕事よりも俺を選ぶ?」
小町「ん、仕事なんかよりこっちの方がよっぽど楽しそうじゃないか」
冷次「そうか、ただこの扉が開いたら・・・」
冷次が話しているとギギギと音を立てながら扉が開いた。
小町「ひ、開いた・・・めったに開かない扉が・・・」
冷次「・・・ふぅ」
安息の息をひとつついて、小町に振り返った。
冷次「一緒にいてくれてありがとう、割と楽しかったぞ」
そういって扉に振り返り、歩み始めた。
小町「な、なぁ!」
小町の呼びかけに冷次がぴたりと止まった。
小町「今度会ったら一緒に酒を飲みあおう!」
クスっと冷次は笑い、小町に背を見せながらも手を振って、扉の中の闇に消えていった。
小町「・・・あーぁあ、また仕事に戻らないと」
そういって自前の大きな鎌で扉を真っ二つにすると、扉が土になり、地へ帰っていった。



魔理沙「ふぅー、ついたぜ」
紅魔館からようやく向日葵と魔理沙が帰ってきた。
向日葵「気づけばもう朝ですね」
魔理沙「ん、まぁいつもどおりだぜ」
アリス「はぁ、疲れたわ・・・って魔理沙達も今帰ってきたの?」
後ろからアリスが人形に抱えられながら姿を現した。
魔理沙「で、持って帰ってこれたか?」
アリス「えぇ、持ってきたわよ」
そういって小瓶を取り出し、アリスは魔理沙に手渡した。
向日葵「・・・あの、本当にお兄ちゃんは・・・」
魔理沙「あぁ? もうとっくのとうに生き返ってるんじゃないか?」
一瞬アリスと向日葵は困惑し、向日葵は期待に満ちながら疾風のごとく冷次の元へ走った。
アリス「どういうこと?」
魔理沙「ん、閻魔様の力だぜ」
あぁー、とアリスは納得して深々と頷いた。



アリスの家:リビング。
向日葵「お・・・お兄ちゃん・・・?」
冷次の眠るベッドに歩み寄る。
冷次は・・・・・・・・・・なんと息を吹き返していた。
魔理沙「さて、この蓬莱の薬と、私のこの薬を調合して・・・あら不思議、さぁこれを飲ませてみな」
後ろから魔理沙が向日葵に小瓶を手渡した。
向日葵「・・・・・」
冷次の口を開け、ゆっくり薬を飲ませた。
お願い、生き返って・・・。
また、ボクの頭を撫でて、ボクを褒めて・・・。
そんな願いを込めながら。
冷次「っ!? ぐほぁっ!! な、何だこれ、不味すぎる!?」
薬を吹き、冷次は飛び起きた。
向日葵「お兄ちゃああああああああああああん!!」
我慢できなくなったのか、向日葵が涙を流しながら冷次に抱きついた。
アリスはそっぽ向いて、魔理沙はひゅーひゅーと口笛を吹いた。
冷次「・・・ここは?」
アリス「私の家よ。 それにしてもよく生き返ったわね、あんたの薬で」
魔理沙「あー? 私に作れない薬はないぜ!」
胡散臭い・・・そう思いながらアリスは微笑んだ。
冷次「・・・ありがとう、礼を言わせて貰う」


それから3人は疲れたのか、お昼まで眠りついてしまった。
冷次もなんとなく釣られて一緒に寝るのであった。







続くだろう、きっと


あとがき
何も言うまい、後からgdgdに(r
# by domy_s_kool | 2009-09-06 13:12 | 東方project

東方異界記 ~第3話 今日限りのおまけ~

あらすじ

向日葵は魔理沙に連れられ紅魔館へと向かった。
その紅魔館の内部にある大図書館でパチュリー・ノーレッジと出会った。
それから得体の知れない薬を飲まされ若干空に浮くことができるようになった。
更にマナのない幻想郷でも自分の能力が使えるようになった。

一方の冷次は三途の河で閻魔と死神に出会った。
冷次は閻魔に生き返らせてもらえることになった。
しかし条件つき。その条件とは一体・・・。




川の辺。
川のせせらぎが聞こえてくるほどあたりは静まり返っていた。
冷次はただ四季映姫が出す任務を待っていた。
そしてようやく四季映姫が口を開いた。
四季映姫「その任務とは・・・」
高まる緊張感。
ごくりと固唾を飲んで耳を向けた。
四季映姫「どんな罪と当たっても正という道に進みなさい。それが今あなたにできる最高の善行です」
冷次「・・・・・わかった」
よろしい、と四季映姫が満足そうに微笑んだ。
四季映姫「では、この扉が開いたらその中に入りなさい。自分で開けようとはしないこと。わかりましたね?」
冷次「あぁ、わかった」
四季映姫「では私は戻らなければ・・・小町、ちゃんと仕事するんですよ?」
小町「はいはいわかってますよー」
ふぅっと息を吐いて四季映姫はその場から去っていった。
小町「ま、あたいの仕事といったら寝ることだけ・・・ってどうしたんだ冷次?」
冷次は気づけば抜刀の構えを取っていた。
そして目をつぶり何かを待っていた。
冷次「神経を研ぎ澄ましているだけだ」


紅魔館。
ここの主のものであろう部屋に向日葵は昏睡していた。
そこに入ってきたひとつの悪魔の影。
女の子「起きてー」
ゆさゆさと向日葵を揺らしながらその悪魔はささやいた。
だが向日葵は一向に起きる気配はなかった。
女の子「・・・そーだ、お絵かきしよーっと」
ペンを取り出し無造作に向日葵の顔に落書きし始めた。
女の子「ひげはここでー、あ、おめめも描いてー、牙も描いてー・・・ぷっ、くくく・・・」
笑いをこらえながら向日葵の顔に線を書いていった。
向日葵「ん、んん・・・」
女の子「あ、お姉さまの部屋に鏡ってあったかなぁ」
向日葵の体から離れ鏡を探し始めた。
向日葵「さっきからうるさいよぉ・・・」
女の子「あ、お目覚め?」
向日葵がゴシゴシと目をこすって目の前にいる悪魔を見た。
金髪で、ツインテールで、まだ幼い容姿で、へんな被り物をかぶっていて、印象的な翼・・・。
向日葵「君は・・・?」
女の子「人の名前を聞くときはまず自分から~・・・」
にやにやと笑いながら女の子は言い返した。
向日葵「ボク・・・ボクは秋乃向日葵」
フランドール「向日葵・・・うん、覚えた。わたしフランドール・スカーレット。何で向日葵さんはここで寝てるの?ここはお姉さまのお部屋よ?」
向日葵「こっちが聞きたい・・・紅茶をもらったらすごい眠気に襲われて・・・」
そこで向日葵がぴーんときた。
つまり・・・寝かせて、この部屋に閉じ込めて、このフランドールのおもちゃにしようとしていたんだ。
そんなネガティブ(?)な推理をし、向日葵はゴールデンモウルを構え戦闘態勢に入った。
向日葵「ごめんね、ボクはこんなとこで死ぬわけにはいかないんだ」
フランドール「私とやるの?いいの?本気でやるよ?」
向日葵「別に?ボクは別にそんな脅しは―――――」
ヒン・・・。
何かが顔のすぐ横を横切り、自分の後ろにあった壁に大きな穴が開いた。
そこから外が見えた。
外はもう夜だった。
夜って・・・悪魔が力を増す時間ってお兄ちゃんが言ってた。
フランドール「次は向日葵さんの胸の部分・・・かな」
手を突き出して向日葵の胸に狙いを定めた。
向日葵「ご・・・・ごめんね!ボクが悪かったよ!だ、だから・・・ね?」
向日葵にしてはらしくない命乞い。
だがピンチになれば誰でもそうではないだろうか。
強がっていた向日葵の心を砕いて満足したのかフランドールがにやにやと笑いながら手を下ろした。
フランドール「ぷ、大丈夫大丈夫!私人間って原型で見たことないからそんな珍しいものをすぐに壊したりしないよ!」
向日葵「はは、それはよかった・・・(原型?)」
するとフランドールが笑顔を消して悲しみの表情を浮かべて言った。
フランドール「私、お姉さまからも、咲夜からも、紫もやしからも、この紅魔館の皆から嫌われてるんだ。部屋に閉じ込めてはずっとそのまま。ご飯を持ってくる咲夜も私の話に適当に相槌を打ってごまかすの。あはは、私って"危険"だから仕方・・・ないよね・・・えぅっ、ひぐっ・・・」
挙句涙まで流し始め、その場にへたり込んでしまった。
そんな寂しがりやの悪魔に向日葵が抱きつき、言った。
向日葵「周りがたとえ冷たくても・・・すべてがすべてじゃない。自分の心が暖かくなれば周りの心の氷だって溶けるよ」
その言葉は冷次がエリーの妹、アイリに言った言葉だった。
フランドールは、アイリとどこか似ていた。
だからこの言葉を言うことができた。
フランドール「向日葵・・・さんっ・・・うっうぅっ・・・!!」
向日葵「ボクはフランちゃんのこととかはよくわからない。けどボクはフランちゃんだったら心を許せるよ。ずっと寂しかったんだもんね」
ぎゅっと抱きしめられているフランドールは向日葵の胸の中でうんうんと頷いた。
向日葵「じゃあ、何して遊ぶ?」
フランドール「ふぇ・・・?」
向日葵「遊んで、嫌な気持ちを吹き飛ばそう。その方が絶対にいい。だから、何する?」
フランドール「・・・ありがとう向日葵・・・お姉ちゃん。でもいいよ。私と遊ぶときっと後悔する」
さっきのことを思い出す。
何かが横切って後ろにあった壁に大きな穴を開けた。
後ろを見ると満月が綺麗に輝いていた。
・・・。
向日葵「じ、じゃあ・・・絵本読んであげる!」
フランドール「ほ、ホント!?わーい!」
フランドールはうれしそうにぴょんぴょんと飛び跳ねた。
向日葵はそこら辺にあった本をとり、読み始めた。
その向日葵と本との間にフランドールが割って入ってきた。
そう、向日葵がフランドールを抱え込むように。
向日葵「それは大昔、まだこの幻想郷に鬼が住む頃のお話・・・」
・・・・・・・・。
・・・。
それから何分が経っただろうか。
誰もわかることはないが、、咲夜が来た頃には二人は寝ていた。
咲夜「・・・あら、妹様。 ・・・かわいい寝顔ですね」
クスっと笑い、部屋につかつかと入ってきた。
それからフランドールを向日葵の腕から解放し、向日葵を抱えて図書館へと向かった。
咲夜「・・・割と重いわ、向日葵さん」
だが幸い向日葵は寝ているので聞こえることがなかった。


その頃・・・。
アリス「うがーっ!!人遣い荒すぎよあんた!マジ何様のつもり!?」
妹紅「おいおいそんな怒鳴るなっつの。寝てる妖怪まで起きるぞ?」
アリス「この・・・っ!!」
湧き上がる怒りを妹紅はなだめていた。
なだめるといっても端から見れば火に油を注いでいるようなものであるが。
妹紅「んなこと言ったってよぉ・・・。慧音が疲れてんだし・・・」
アリス「人のせいにするなぁー! ってかあんたがやりなさいよ!」
妹紅「めんでぇ・・・」
アリス「おいィ!?」
ブロント「人の技をぱクるとは汚いな流石まんガトロいどきたない」
アリス「つかあんただれ!?ってあぁーもう!!」
頭をかきむしりながらじたじたと暴れ始めた。
妹紅「おい落ち着けアリス。うわっ、物なげんなよ!」
アリス「大体なんであんたのために家事しなきゃいけないのよ!そりゃ確かに蓬莱の薬は欲しいけど・・・あぁもうこんなことになるんだったら強奪でもしておけばよかったぁー!!」
妹紅「強奪・・・ねぇ」
妹紅が突如表情を鋭くし、アリスに提案した。
妹紅「そんな度胸があるんだったら最初から言ってくれればよかったのに。そんなに強奪したかったら永遠亭の輝夜が持っているあるものを盗んできてくれよ」
アリス「は・・・あんた何を・・・」
妹紅「そうしたらもう何も言わずに蓬莱の薬をやるよ」
アリス「・・・・・・」
しばらく考え込む。
そして頷いた。
アリス「・・・わかったわよ、やるわ。 何をとってくればいいの?」
妹紅「こんな形をした箱だ。いいか、くれぐれも衝撃は与えるなよ?」
両手の親指人差し指をつかって長方形の形を作りアリスに説明した。
アリス「わかったわ。持ってきたら本当に何も文句なしで蓬莱の薬はいただくわよ」
妹紅「あぁ別に。私はもう何も言わん」
アリスはふぅっと息を吐いて家から出て永遠亭へと向かった。


向日葵「うぅん・・・あ、いけない、つい寝ちゃったって・・・ここは図書館?」
パチュリー「そうよ。聞けばあなた、妹様と寝ていたのね」
妹様・・・フランドールのことだろうか。
パチュリー「何も言わないわ、あの子は危険だから気をつけて」
向日葵は心に雲を渦巻いて黙って頷いた。
・・・確かにフランドールは危険。
だが実際はとても寂しがりや。
それを放っておいていいのだろうか。
向日葵が悩んでいると魔理沙がたくさんの本を抱えて姿を現した。
魔理沙「とりあえず、だ。もうここには用はないし、帰るぜ向日葵」
向日葵「え、そうですか?」
パチュリー「ちょっ、その展開はやめてー!!」
魔理沙「あー?意味わからねーぜ。というわけで行くぜ向日葵」
向日葵はそのまま魔理沙の後ろを追うのであった。
パチュリー「やめてー持っていかないでー!!」
小悪魔「きゃーっはっはっはっはっは!」
カチン。
パチュリー「ロイヤルフレアー!!」
小悪魔「こああああ!?」


続くのか。

あとがき
眠いと何が描きたいのかわからなくなってきます。
仕方ないじゃん、バイト帰りなんだから。
というわけで寝ます、お休み(´・ω・`)
適当でごめんなさい、本当にごめんなさい
次回は力入れるよ!きっと・・・。
# by domy_s_kool | 2009-07-28 02:15 | 東方project

東方異界記 ~第2話 生きていく術はまだある~

あらすじ
幻想郷という世界に飛び込んだ秋乃兄妹。
冷次が早々に命を落とし、向日葵が孤立状態に。
しかしそこへ幻想郷の住民である霧雨魔理沙、アリス・マーガトロイドに助けられた。
冷次の命はまだ死んでいないというが・・・―――――――――――



     はじめから

    ニアつづきから
  


アリス「ふ、ふざけないで!!」
顔を真っ赤にしながら怒声を妹紅に浴びせた。
妹紅の言っていた条件、それは――――――
妹紅「一日だけ私のそばにいてくれないか?」
アリスはそう聞いた瞬間はぽかんとしていた。
それから何かが吹っ切れたように怒声をあげた。
妹紅「そこまで怒らなくてもいいだろ・・・うるせえなぁ・・・」
耳をふさいでアリスの怒声をまともに受けなくて済んだ妹紅はやれやれと首を振った。
妹紅がその条件をつけるには理由があった。
人里の寺子屋で子供達に教育をする慧音という半人半獣(後にワーハクタクと語られる)が最近疲れているせいか妹紅の家に戻るとすぐ寝入って家事をほったらかし状態にしているそうな。
その家事をアリスにやってほしいらしい。
アリス「わわ、私には魔理沙という夫がいてそんな浮気なんてできるわけないでしょ!?」
更にパニックになるアリスはわけのわからないことを言い始めた。
妹紅「何言ってんだお前?お前を妻にするつもりはないし第一家事をしてほしいだけだ。そこだけ勘違いすんなよ?」
アリス「ふぇ?」
ようやく収拾がついたらしい。
妹紅「・・・で、やるのかやらないのか?」
アリス「魔理沙は蓬莱の薬を持って来いって言ってたし・・・うぅん・・・わかったわ、やるわよ」
妹紅「よし、じゃあ家についてからいろいろ指示するからやってくれ」
はぁ、何やってるんだろ私は・・・。
そうアリスは自分に対してあきれ返っていた。


――――ここは悪魔の住む真っ赤な館・・・紅魔館。
不気味な紅を演出させ、誰も寄せ付けないような雰囲気を出している・・・が、割と客は入ってくる。
何故かというと理由は大きく分けて二つ。
ひとつは紅魔館の開くパーティ。
これは言うまでもなく客引きイベントみたいなものだ。
もうひとつは・・・。
魔理沙「どっけぇええええええええっ!!」
ここの常連客である魔理沙である。
それを黙って見ているほど門番は甘くはない。
――――紅美鈴。
紅魔館の門番で割りとお人よし。
この館に住むメイド長・・・十六夜咲夜のいいおもちゃにもなっている。
鶉を飼っているらしいがその鶉もいずこへ・・・。
中国「さぁ来い白黒・・・ってなんで名前が中国に!!?」
いや決まりごとだしいいかなと。
美鈴「よくなぁーい!!」
魔理沙「どかないと轢くぜえええ!!」
美鈴が仁王立ちして魔理沙を止める体勢にはいる・・・が、結果は一目瞭然。
ドゴォッ!!美鈴「げふっ!?」
箒の先端部分が美鈴の腹部にヒットし、その場に美鈴がのた打ち回った。
向日葵「わ、わぁー・・・大丈夫?」
魔理沙「お約束だぜ」
そういって魔理沙と向日葵を乗せた箒は門番を軽く打破しその先の紅魔館内部へと入っていった。
美鈴「お・・・の・・・れぇ・・・がく・・・」


紅魔館の内部に大きな図書館がある。
名もなき大図書館。
魔理沙が常連な理由はここにあった。
魔女「・・・来たわね」
暗い図書館の中、ランプひとつに照らされながら本を読む魔女、パチュリー・ノーレッジは魔理沙の気配を感じ取り、本をぱたりと閉じた。
小悪魔「あれパチュリー様、読書はおしまい?」
パチュリーの使い魔である小悪魔がパチュリーに問う。
パチュリー「違うわよ、私の夫が来たからおもてなしよ」
にやにやと小悪魔が笑いながらドアへと向かったパチュリーの後を追った。
魔理沙「邪魔するぜ!」
パチュリー「ま、また来たのね物好き、白黒」
顔を真っ赤にしながらパチュリーが小声でなおかつ早口で言うものだから魔理沙は聞き取れずに首をかしげた。
これはパチュリーの決まり文句でもあり、照れ隠しでもあった。
パチュリー「・・・お客?魔理沙がお客さんを連れてくるなんて珍しいわね」
魔理沙「そうだそうだ、こいつは幻想郷の外から来た人間だぜ」
向日葵「え、えっとボク秋乃向日葵っていいますっ」
パチュリー「元気な娘ね、私はパチュリー・ノーレッジ、魔理沙の妻よ」
魔理沙「いつの間に私は夫になったんだ?」
笑いながら魔理沙が言った。
魔理沙「っと、そんな冗談かましてる場合じゃないぜ。ちょっと本借りてくぜー」
パチュリー「あなたが借りた本をそろそろ返してほしいんだけど・・・」
パチュリーが言う前に魔理沙は闇のかなたへと消えていた。
ふぅ、とため息をついてパチュリーが向日葵をちらりと見た。
パチュリー「向日葵、幻想郷に来てからどれくらい経ってるのかしら?」
向日葵「え、えっと・・・さっき来たばっかりだから・・・」
パチュリーが何かを詠唱しはじめる。
するとパチュリーの手のひらに得体の知れないカラフルな色をした液体が出てきた。
とてもフルーティーな香りを漂わせているのが不思議だ・・・。
パチュリー「即席能力付与剤よ、これを飲めば幻想郷にいる間だけどあなたに幻想郷を生きていく能力が身につくわ」
向日葵「え、いいんですか?」
パチュリー「別に」
無表情の割にはやさしいんだなぁ。
向日葵はそう思って小瓶を手にしてコルクを抜いた。
向日葵「い、いただきます」
フルーティーな香りとはいえ液体の色に若干抵抗があった。
パチュリー「一気飲みしないと知らないわ」
一気にのどに液体を流し込む。
それと同時に向日葵の顔色が真っ青になった。
向日葵「っ!!!――――――――――――――――――っ!!」
パチュリー「それを乗り越えたら立派な能力保持者よ」
小悪魔がクスクスと笑いながら闇の中に向かうパチュリーの後ろを追った。
一人になるのもなんなので向日葵もその後を追った。
向日葵「・・・はぁ、死ぬかと思った。能力なんて本当についたのかな・・・」
パチュリー「ジャンプして飛べる!って思いなさい」
向日葵「え・・・あ、はい」
思いっきりジャンプして飛べると強く念じた。
・・・。
地面に足がつかない。
向日葵「わ、飛んでる!?」
わずかだが向日葵は宙に浮くことができた。
パチュリー「練習すればもっと浮くことができるわ。それとあなたについた能力は何かしらね」
小悪魔「何もついてないですよきっと」
ケラケラと小悪魔が笑うが向日葵とパチュリーはそれを無視して続けた。
向日葵「・・・おぉ!?」
無意識にファイアエンチャントを考えていたら手から火が出てきた。
というより出せるようになっていた。
マナがないこの世界でも自分の能力が使えるようになった(みたいだ)。
パチュリー「魔法が使えるのね。面白いわ」
パチュリーが向日葵に向けて手を伸ばし火の玉を飛ばした。
向日葵「なっ!?」
それをゴールデンモウルで防いだ。
するとゴールデンモウルに火が纏った。
パチュリー「私の魔法を自分の属性として付与するなんて・・・」
向日葵が得意とするエレメントデプリ。
炎、雷、氷のいずれかの属性を武器で防ぎ、後に自分の武器の一時的な属性にしてしまうという技である。
向日葵「・・・。ご、ごめんなさい!」
そのままハンマーを振るい炎をパチュリーに向けて飛ばす!
パチュリー「水符「プリンセスウンディネ」!!」
パチュリーの目の前から水柱が吹き出て炎を防いだ。
向日葵「雷の力よ!」
向日葵のハンマーに電気が帯びた。
そしてそのままパチュリーに向けて放つ!
パチュリー「雷・・・私じゃ扱えない技だけど・・・エメラルドシティ!!」
今度は地面から出てきた水晶の壁がパチュリーを守る!
向日葵「・・・ちょっと待って、なんでボクがパチュリーさんと戦わないといけないの!?」
パチュリー「面白いからよ、あなたが。 でもこれで決着をつけてあげる」
手にしていた本がバラバラと開き始める。
パチュリー「火炎の魔神よ、すべてを焼き尽くし我に道を示せ・・・日符「ロイヤルフレア」!!」
小悪魔「こあ!?」
向日葵「えっ・・・!?」
キィン、という短い音の後に爆発音と一緒に灼熱の炎がパチュリーを中心にして辺り一帯に広がる!
無論それは防ぐ術はない。
せめてダメージを軽減しようと向日葵は自分の体に炎を纏わせるが・・・。
パチュリー「・・・ロイヤルフレアを受けて立っていられるなんてやるわね」
向日葵「はっはぁっはぁっ、ロイヤルフレア・・・恐るべし・・・」
膝を突いてその場にへにゃりとしりもちをついた。
そこに丁度魔理沙が姿を現した。
魔理沙「お、おい人の大事なそざ・・・友達に何てことするんだ!」
パチュリー「・・・はっ、また私ったら何を、ごめんなさい向日葵」
向日葵「大丈夫、これくらい平気平気」
といってももうふらふらしていた。
向日葵を椅子に座らせ、パチュリーは"咲夜"の名を呼んだ。
すると音もなしに咲夜がその場に立っていた。
咲夜「はい、どうしました?」
――――十六夜咲夜。
この紅魔館のメイドで、主の吸血鬼に忠実。
ただし門番に対してはきつい態度をとる。
パチュリー「この子に紅茶を持ってきてあげなさい。それとアレを配合で」
咲夜「かしこまりました。すぐにお持ちいたします」
トランプを取り出し口に当てると姿を消し、トランプだけがその場に舞って地に落ちた。
向日葵「あ、あの人は手品師ですか?」
パチュリー「メイド長っていうらしいわよ」
咲夜「お持ちいたしました、今日はダムサリアの葉を使っております」
パチュリー「知らないけどありがとう。さ、飲みなさい」
咲夜に差し出された紅茶を向日葵が口にする。
向日葵「いただきまぁす。ごく、ごく・・・・ぷはぁ」
飲み終えた向日葵はそのまま机に突っ伏してしまった。
向日葵「すぅ、すぅ・・・」
咲夜「眠ったみたいです。どうなさいます?」
パチュリー「レミィの部屋にでも寝かせてあげなさい。きっとレミィは神社にいるだろうし」
咲夜「かしこまりました」
向日葵を担いで咲夜は大図書館を後にした。
魔理沙「割と気を使うんだなお前は」
パチュリー「当然のことよ」


彼岸。
冷次「・・・・・はっ、ここは!?」
飛び起きてまず目に入ったのは真っ赤な花畑。
彼岸花・・・だろうか。
女「映姫様そこはだめですよぉ・・・むにゃむにゃ」
冷次「!?」
気づけば隣に一人の女性がいた。
女にしてはだらしない寝方をしている・・・。
冷次「と、とりあえず失礼・・・ぐあっ!?」
彼女の寝返りに捕まり、抱き枕状態になってしまった。
・・・その際にむにむにとあたる大きな乳が背中を刺激した。
俺だって男だ、こういうことをされると頭の中が真っ白になる。
冷次はやばいと思いつつも腕を振り解くことはなかった。
そこへ・・・。
女「こぉ~まぁ~ちぃ~・・・」
また別の女性・・・女の子が地を這う低い声でそういった。
小町?「きゃんっ!?べべ、別にサボってなんかないですよ!少しいい日当たりだったからその・・・・わっはははははは!」
冷次「俺に言わないであの人に言ってくれ」
小町?「は・・・あんた誰?」
冷次「俺が聞きたい」
女「おや、また死人ですか」
死人、そうだ俺は死んだんだった。
じゃあここは天の川の手前だろうか?
小町?「そそ、そうです映姫様!この死人が転寝をしてたからついあたいも寝ちゃったわけで、だから釣ったこいつが・・・ぎゃん!?」
バシンとしゃくみたいな何かで小町の頭をたたいた。
四季映姫「言い訳はもういいですよ小町。で、あなたは・・・」
そういって巻物をくるくると開きながら何かを探し始めた。
四季映姫「秋乃冷次、ね。ここに来てから間もないっていうのに被弾して死亡。不注意が祟ったわね」
あの巻物に個人情報でも載ってるのだろうか。
冷次は首をかしげてそう思った。
四季映姫「そう不思議そうにしなくてもいいのです。私は四季映姫・ヤマザナドゥ、この幻想郷の閻魔です」
小町「あたいは小野塚小町、三途の河を渡る死神さ!」
冷次「・・・はぁ」
急展開についていけない冷次は目を丸くしていた。
四季映姫「それにしても・・・」
四季映姫が口を開く。
小町は「あっ、やば・・・」とこぼした。
四季映姫「あなたは妹思いすぎです、妹に夢中すぎて周りが見えてないことが多々あるようですね。ちゃんと注意しないからこういうことになったんですよ?いいですか、自分の身は自分で守る世界なんです、周りが見えていなかったらその時点でゲームセットなんですよ?例えるならどこかの夜雀が持っている夜盲「夜雀の歌」などのスペルカードですよ、周りが見えないから自分の反射神経を使うわけですよね?そういえばあなた反射神経がいいはずなのに何被弾してるんですか?割と鈍感ですか?なるほど、恋愛学園物の男主人公が乙女の恋心に気づかないアレと一緒ですね、わかります。女としてはホントあれは許せませんよ。私がもしヒロインなら率直に"好きなら好きって言ってください、じゃないと地獄に落としますよ?"と言いますよ、絶対。あぁでもやっぱり若干の鈍臭さが残ってないと話としては萌えないですよね。よくよく考えてみればそのほうがシチュエーション的にもおいしいですしうんたらかんたら・・・・」

それからどれくらい時間がたったのだろう。
気づけば三途の河の水平線に日は沈みかけていた。
それでもなお四季映姫の説教(?)は止まっていなかった。
四季映姫「・・・みに私はクドリ〇フカのルートが好きでした。決定的でしたねあの水牢に閉じ込められたときに脱出する際のあの子と主人公に感動しました・・・って私は何を話してるんだぁー!?」
小町「ぐかー・・・」
冷次「すぅすぅ・・・」
寝ている二人にカチンときた四季映姫が手にしていたしゃくで二人の方をバシィンとたたいた。
小町「ぎゃんっ!!?」
冷次「いづあっ!?」
四季映姫「ごほん。 さて、そろそろ本題に戻りましょうか」
四季映姫が仕切りなおしをして表情が一変し、真剣な表情となった。
四季映姫「冷次、あなたにもう一度チャンスを与えましょう」
冷次「本当か!?」
四季映姫「えぇ。ただしあなたには試練・・・いや、任務を与えます」
冷次「任務・・・別に出されたって無理でなければやる」
四季映姫「いい返事です、では任務を与えます」


To be continued...

あとがき
四季映姫株価大暴落中wwwwwwwwwwwwwwwwwww
いや、だがそのエイキッキが俺は好きだ!
んー、ちょっと今日は内容は薄いかな。
いつものことだけど。

ていうか終わり方が前回と似すぎている^q
# by domy_s_kool | 2009-07-25 00:57

東方異界記 ~第1話 次がなければ明日もない~

注意:この物語は一切本編とかかわりがありません。
    完全パラレル世界なので同人誌感覚でお楽しみください。





秋乃家:倉庫
今日は特にやることもないということで向日葵が使っている倉庫・・・もとい宝の山・・・もといガラクタ置き場の整理を手伝わされているとこだった。
冷次「げほっ、げほっ、なんでこんなになるまで放置してたんだお前・・・っ」
向日葵「えー仕方ないじゃん~」
仕方ないものか。
ちょっとどこかに触れると手が埃まみれになる。
冷次「定期的に掃除くらい・・・」
しろと言っても今まで次元を渡り歩いていたんだからそんな暇はないか。
そう考えて俺は口ずさんだ。
向日葵「あ、懐かしー」
向日葵が手にしてたものは何かの牙だろうか・・・?
・・・というよりそんなもの持ってたのかお前は。
何の牙かと聞いてみるとバルログの牙らしい。
・・・そんなもん捨てろ。
冷次「にしても酷い埃だ・・・な?」
ふと目にしたものは埃はかぶっているものの不思議な雰囲気を漂わせていた鏡台だった。
向日葵「こんな鏡持ってたっけ?」
冷次「向日葵でも知らないのかこの鏡台」
というよりもうここにあるものすら把握し切れてないだろう、向日葵は。
しかし何故だろうか、この鏡からとてつもなく強いマナを感じる。
いやマナじゃない、力と言った方が正しい。
冷次「ちょっとこれ表に出そうか」
鏡台を表に出して二人して観察し始めた。
・・・・・。
外観的にはインテリアな鏡台だ。
だがわかる者にはわかる、この鏡台には何か特殊な力が備わっている。
向日葵も薄々気づいていたみたいだ。
鏡台の戸みたいなものを開くと鏡が開いた。
鏡には傷ひとつない。
あれだけ酷い倉庫にいれられて無傷だとは・・・まぁ戸に守られてるから当然か。
鏡に触れてみる。
冷次「・・・特に何も・・・なっ」
言い終える前に事は起こった。
向日葵「えっ、な、何?!」
俺が聞きたい。
鏡に触れた途端鏡から手が出てきて俺の手を掴んで・・・
冷次「くっ、離せ!」
柄に手を伸ばす・・・が、武器がない。
そうだ、折られてからそのままどこかに捨ててしまったんだ。
なすすべもなくじりじりと鏡に吸い込まれていく・・・。
向日葵「だめぇっ!!」
後ろから向日葵が俺を引っ張る。
が、向日葵のバカ力もむなしく、もう俺の体の半分は鏡の向こうだ。
冷次「向日葵離せ!お前まで巻き込みたくない!」
向日葵「やだやだお兄ちゃんと離れたくない!!」
冷次「ば、バカ!!そんなこと言ってる場合じゃ・・・」
向日葵を振りほどこうとした瞬間腕を引っ張る力が途端に強くなって俺と俺を引っ張っていた向日葵はそのまま鏡の向こうへと引っ張られてしまった。
・・・・・・・・・。

――――――ここは外の世界の者にはわからない世界。
妖怪や人間が住む世界。
そんな幻想的な世界がここである。
「―――・・・理沙、起きてってば。いつまで人の家に寝てるつもり?」
「もう少し寝かせてくれよぉ・・・痛ってぇっ!!?」
人の家にまで来て寝る魔法使いにとうとう堪忍袋の緒が切れたアリス・マーガトロイドは人形が持つレイピアでぶすりとその魔法使いの太もも部分を刺した。
「痛ったいじゃないかアリス!人が気持ちよく寝てたのによー・・・」
アリス「人の家で寝ておいてそれはないわ。それにもうお昼よ魔理沙」
魔理沙・・・本名は霧雨魔理沙、人間でなおかつ奇妙な魔法使い。
本人が何故アリスの家で寝てるのかというとお互い魔法使いで話が合うから夜遅くまで話していたらこうなったのである。
ちなみに性格の面ではでこぼこコンビであったり。
魔理沙「・・・まぁいいぜ。それより私はなんでアリスの家で寝てるんだ?」
アリス「帰れって言ったのに今日はここで寝かせてくれって言うから寝かせてあげたのよ?感謝しなさいよもう」
口で強がっていてもどこか恥ずかしそうなアリス。
魔理沙は頭の上に?マークを浮かべて首をかしげた。
頭をかきむしりいつもの服に着替え、魔理沙は言った。
魔理沙「今日は何か面白いことが起こるぜ」
アリス「面白いこと・・・どうせ夢の話でしょ?」
魔理沙「あぁ、夢で見たから現実でも見れる」
やれやれとアリスはため息をついて呆れた。
ドォン!!
アリス「な、何!?」
確かにおきた爆発音。
・・・いや、爆発音よいうより、なんだろう?
とにかく鈍い音がした。
場所もそれほど遠くはない。
魔理沙「ほらな、何か面白いことの予兆だぜ」
この期に及んでのんきなことを言うようだが魔理沙は心底でうずうずしていた。
魔理沙「とにかく行くぜアリス!」
魔法使いらしく黒い上着、黒いスカート、白い前掛け、黒い魔法使いの帽子を身につけ、どこにでもあるような箒を持って外に飛び出して行ってしまった。
アリスも呆れながらそれを追うのであった。



冷次「痛た・・・ここはどこだ?」
向日葵「さぁ、どこだろう?」
鏡の向こうは綺麗な自然でいっぱいだった。
冷次「時に向日葵・・・」
向日葵「ん、何?」
冷次「どいてほしいのだが」
俺はさっきからずっと向日葵の下敷きになっていた。
あ、ごめんと謝ってようやく向日葵がどいてくれた。
・・・本人には言えないが体重は割かしあると思う。
だいたい七十・・・
向日葵をちらりと見る。
ものすごい形相でにらみつけてくる。
考えないでおこう、体重のことは。
冷次「それにしても見たことない世界だな」
向日葵「そうだねぇ・・・どこなんだろう?」
見たことない世界があることはわかっているが、見たことないだけではなく、この世界にはワールド・ケヤキなどにある力の源・・・マナが存在していない。
・・・マナがなければ自分の能力は引き出せない。
冷次「うーむ・・・」
とりあえずまずは町か何かを探そう。
動かなければ先に進めない。
そう思って歩きはじめた瞬間だった。
胸から何か生暖かいものを感じ取れた。
向日葵「え・・・嘘・・・」
冷次「う、ぐ・・・」
真っ赤で生暖かくてべっとりした液体がだらだらと流れる。
止まらない、幾度かこんな経験をしたことがあるが、本当に"死"を迎えるのはこれが・・・初めてだった。


向日葵「お兄ちゃああああああああん!!」
力なしにお兄ちゃんが崩れていく。
何で・・・なんでお兄ちゃんが攻撃されたの?
何で、どうして・・・!?
向日葵「・・・うわぁっ!!」
ボクの周りに雨のような何かが降り注がれる。
あぁ、これか、これがお兄ちゃんを殺したものかぁ・・・。
魔力弾じゃない、なんだろうこれは。
わからない、考えてる暇はない。
向日葵「よくも・・・よくもお兄ちゃんをぉ・・・許さない、絶対に許さない!!」
自分の奥底に眠る熱いものが全身にほとばしる。
それに連れ脳内に響く電子音のような声。
"標的(ターゲット)・・・目ノ前ノ妖精、標的ノ完全沈黙確認マデノ攻撃ヲ開始スル"
向日葵「・・・う、うあああああああああああああああっ!!」
力が体からあふれるくらいこみ上げてくる。
そうしたのは・・・あの妖精達だからしかたない。
ボクはわれを忘れ攻撃を開始しはじめた。

妖精「あ、うぅあ・・・」
ジャンプで急接近してくる向日葵に恐怖を覚えたのか妖精ががたがたと震え始める。
向日葵「消えろ、消えてしまええええっ!!」
ゴールデンモウルを大きく振り下ろし妖精を地面へと叩き落す!
妖精「あが、げほっ、ご・・・」
向日葵「あああああっ!!」
追い討ちをかけるように更に上空からハンマーを振り下ろす!
妖精はかわす術もなくそれをまともに受けてしまった。
ドォン!!
それで攻撃をやめる向日葵ではなかった。
追い討ちをかけるように向日葵がハンマーでがむしゃらに妖精をたたき始めた。
向日葵「死ね、死ね、死んでしまえ!死んでしまええええっ!!」
そこで向日葵が何かに気づきぴたりと攻撃をやめた。
妖精に攻撃があたってない。
あれほど滅多打ちにしたのに傷ひとつない。
よくよく見れば妖精の目の前に何かオーラがまとっている。
バリア・・・それが更に向日葵の怒りの火を強くする!
向日葵「小癪なぁっ!!」
更に力を込めて妖精にハンマーをたたきつけた!
バキィン!
妖精のバリアが割れてしまった。
今度こそ妖精も危ない。
「待てーい!」
上空で声がした。
向日葵はそっと声のするほうへと顔を向けた。
向日葵「また、妖精・・・」
青い服に青い髪の毛。
チルノ「あたいはチルノ、妖精を虐めるやつは許さない!!あたいが相手になってあげる!」
標的移行。標的・・・チルノ。完全沈黙マデノ攻撃ヲ続行。
向日葵の脳内でまた電子音のような声が響く。
向日葵が攻撃に移ろうとした瞬間、何かに気づく。
チルノ「わーっはっは!あたいは冷気を操れる!つまり最強!」
ジャンプしようにもチルノの冷気で足が凍り動けなかった・・・が。
向日葵「・・・で?」
向日葵の体に火炎がまとい始める。
チルノ「ひ、火!?これは不味いなー」
向日葵「消えろ、全部消えてしまえぇっ!!」
「待て!」
向日葵を制すように白黒の魔女がそう叫んだ。
チルノ「魔理沙!!」
魔理沙「お前、幻想郷の人間じゃないのに幻想郷のやつに挑むなんて無謀すぎるぜ!」
向日葵「・・・・・はっ、え、え?」
ようやくわれに返ったのか向日葵がきょとんとして辺りを見回しはじめた。
それから向日葵をまとっていた炎もいつの間にか消えていた。
魔理沙「ここは私がどうにかするからお前は逃げな!」
向日葵「え、でも・・・あっ」
向日葵があるものに気づく。
その目線の先には・・・愛しき兄。
向日葵「え、お兄ちゃん・・・」
魔理沙「そいつはお前の連れか?そんなとこで寝かすのもあれだ、アリス、頼んだぜ」
アリス「ぜぇ、ぜぇ・・・まったく人使いが荒いわね・・・」
アリスと呼ばれた七色の魔法使いがいつの間にかその場にいた。
それからアリスは冷次を背中に担ぎ向日葵の手を引っ張る。
アリス「こっちよ。・・・何泣いてるのよ、まだ"死んでない"わよこのうさぎ」
向日葵「え、ほ、ホント!?」
アリス「今は死んでるけど、まだ魂は死んでないわよ。だから早く来なさい」
向日葵は言われるがままアリスについていくことにした。
魔理沙「よしチルノ。お前にはこれをお見舞いしてやるぜ!」
小さな八角形の箱を取り出しチルノに向けた。
チルノ「え、なんであたい魔理沙と戦うことに!?」


アリスの家:リビング
自分に何がおきたかわからない、周りに何がおきたかわからない。
記憶に残っているのは鏡の向こうにひっぱられたことだけ。
何故冷次が血を流して倒れていたのか彼女は覚えていなかった。
アリス「ここまで来れば安心。あなた、外の人間ね。どうやって幻想郷に来たの?」
向日葵「鏡に触れたら」
淡白に答える向日葵。
アリスはふぅ、とため息をついて続けた。
アリス「魔理沙は気づかなかったみたいだけど私はとっくに気づいてる、あなたさっき膨大な力を出してたみたいだけど」
向日葵「・・・わかんない。気づいたらボクは・・・」
もしかして、気を失っているうちにボクがお兄ちゃんを・・・。
それだけはやだ、絶対にあってはならない。
向日葵は必死にそれだけ否定した。
アリス「いいのよ、よくあることだから。そう、それとそのうさぎ、大丈夫よ。特別な薬を飲ませれば」
向日葵「ほ、ホント!?」
アリス「えぇホントよ」
その時魔理沙が帰ってきた。
魔理沙「まったくあのバカは逃げ足だけ速いから困るぜ・・・おう無事だったか人間。私は魔理沙、いたって普通の魔法使いだぜ」
アリス「私も名前を言い忘れてたわ。私はアリス・マーガトロイド、人形師だと思っていいわ」
向日葵「ぼ、ボクは秋乃向日葵・・・」
魔理沙「よっしゃ向日葵、さっそく私に付き合ってもらうぜ」
向日葵「え、えぇ!?」
魔理沙に手を引っ張られ向日葵は戸惑う。
魔理沙「それとアリス、蓬莱の薬をあの不死鳥からもらってきてくれ」
アリス「えぇ、なんでまた私が・・・はぁ、わかったわよ」
よろしく頼んだぜと言い残して魔理沙と向日葵は出て行ってしまった。
アリス「・・・いつか見たような光景ね」
そうつぶやいてアリスは何体か人形を残し家を後にした。

魔理沙「いいか向日葵、絶対に私から手を離すなよ?落ちても助けないぜ?」
向日葵「え、はい・・・」
魔理沙につられ箒にまたがる。
空を飛ぶには別に問題はないと向日葵は考えていたが・・・。
魔理沙「行くぜ!」
向日葵「っ!!?」
彗星の如く・・・魔理沙と向日葵は飛び立った。
向日葵「ちょ、早いよ魔理沙さん!」
魔理沙「あー?聞こえないぜ?それに魔理沙さんじゃなくて魔理沙でいいぜ」
向日葵「聞こえてるじゃーん!!」

・・・・・・・。
迷いの竹林。
アリスはある者から蓬莱の薬をもらうべくこの竹林へと来た。
アリス「何年ぶり・・・かしらね」
永夜事件の後の肝試し依頼、ここに訪れることはなかった。
訪れたくもなかったが、またここに訪れようとは思ってもいなかった。
「お?どうした七色。わざわざ遭難しにきたのか?」
後ろから女の声が聞こえてきた。
振り返ると要のある人物が立っていた。
・・・買い物袋を引っさげて立っていた。
アリス「ち、違うわよ!」
藤原妹紅。死ぬことが許されない蓬莱人。
妹紅「ふーん、じゃあ何だよ。ここはお前の来る場所じゃないよ」
アリス「あ の ね。 私は別にあんたには用はないの。用があるのは蓬莱の薬」
妹紅「あの薬に手を出すのかお前は。やめとけやめとけ。私みたいに後悔するよ」
呆れ笑いしながら妹紅が手をぶらぶらと振って門払いするようなしぐさをした。
妹紅「まぁ欲しいならくれてやるよ。ただし条件がある」
アリス「条件・・・?」
アリスは不本意だがその条件を聞くことにした。
妹紅「その条件は・・・な」



To be continued...

あとがき
始まりました幻想入り。
あのころが懐かしく思えてきたので書き始めました!
さて、この幻想入りの内容、大して前のと物語は変わらないわけだけども、
うーん、やっぱり少し変えるか。
つかむしろ前の物語なんて知らないよねそうよね!
うふふそういうことだろうと思ってたよひゃっふー!

まぁこれからもよろしくお願いします(´・ω・`)



おまけ?ねーよ
# by domy_s_kool | 2009-07-22 23:17 | 東方project