あらすじ
幻想郷という世界に飛び込んだ秋乃兄妹。
冷次が早々に命を落とし、向日葵が孤立状態に。
しかしそこへ幻想郷の住民である霧雨魔理沙、アリス・マーガトロイドに助けられた。
冷次の命はまだ死んでいないというが・・・―――――――――――
はじめから
ニアつづきから
アリス「ふ、ふざけないで!!」
顔を真っ赤にしながら怒声を妹紅に浴びせた。
妹紅の言っていた条件、それは――――――
妹紅「一日だけ私のそばにいてくれないか?」
アリスはそう聞いた瞬間はぽかんとしていた。
それから何かが吹っ切れたように怒声をあげた。
妹紅「そこまで怒らなくてもいいだろ・・・うるせえなぁ・・・」
耳をふさいでアリスの怒声をまともに受けなくて済んだ妹紅はやれやれと首を振った。
妹紅がその条件をつけるには理由があった。
人里の寺子屋で子供達に教育をする慧音という半人半獣(後にワーハクタクと語られる)が最近疲れているせいか妹紅の家に戻るとすぐ寝入って家事をほったらかし状態にしているそうな。
その家事をアリスにやってほしいらしい。
アリス「わわ、私には魔理沙という夫がいてそんな浮気なんてできるわけないでしょ!?」
更にパニックになるアリスはわけのわからないことを言い始めた。
妹紅「何言ってんだお前?お前を妻にするつもりはないし第一家事をしてほしいだけだ。そこだけ勘違いすんなよ?」
アリス「ふぇ?」
ようやく収拾がついたらしい。
妹紅「・・・で、やるのかやらないのか?」
アリス「魔理沙は蓬莱の薬を持って来いって言ってたし・・・うぅん・・・わかったわ、やるわよ」
妹紅「よし、じゃあ家についてからいろいろ指示するからやってくれ」
はぁ、何やってるんだろ私は・・・。
そうアリスは自分に対してあきれ返っていた。
――――ここは悪魔の住む真っ赤な館・・・紅魔館。
不気味な紅を演出させ、誰も寄せ付けないような雰囲気を出している・・・が、割と客は入ってくる。
何故かというと理由は大きく分けて二つ。
ひとつは紅魔館の開くパーティ。
これは言うまでもなく客引きイベントみたいなものだ。
もうひとつは・・・。
魔理沙「どっけぇええええええええっ!!」
ここの常連客である魔理沙である。
それを黙って見ているほど門番は甘くはない。
――――紅美鈴。
紅魔館の門番で割りとお人よし。
この館に住むメイド長・・・十六夜咲夜のいいおもちゃにもなっている。
鶉を飼っているらしいがその鶉もいずこへ・・・。
中国「さぁ来い白黒・・・ってなんで名前が中国に!!?」
いや決まりごとだしいいかなと。
美鈴「よくなぁーい!!」
魔理沙「どかないと轢くぜえええ!!」
美鈴が仁王立ちして魔理沙を止める体勢にはいる・・・が、結果は一目瞭然。
ドゴォッ!!美鈴「げふっ!?」
箒の先端部分が美鈴の腹部にヒットし、その場に美鈴がのた打ち回った。
向日葵「わ、わぁー・・・大丈夫?」
魔理沙「お約束だぜ」
そういって魔理沙と向日葵を乗せた箒は門番を軽く打破しその先の紅魔館内部へと入っていった。
美鈴「お・・・の・・・れぇ・・・がく・・・」
紅魔館の内部に大きな図書館がある。
名もなき大図書館。
魔理沙が常連な理由はここにあった。
魔女「・・・来たわね」
暗い図書館の中、ランプひとつに照らされながら本を読む魔女、パチュリー・ノーレッジは魔理沙の気配を感じ取り、本をぱたりと閉じた。
小悪魔「あれパチュリー様、読書はおしまい?」
パチュリーの使い魔である小悪魔がパチュリーに問う。
パチュリー「違うわよ、私の夫が来たからおもてなしよ」
にやにやと小悪魔が笑いながらドアへと向かったパチュリーの後を追った。
魔理沙「邪魔するぜ!」
パチュリー「ま、また来たのね物好き、白黒」
顔を真っ赤にしながらパチュリーが小声でなおかつ早口で言うものだから魔理沙は聞き取れずに首をかしげた。
これはパチュリーの決まり文句でもあり、照れ隠しでもあった。
パチュリー「・・・お客?魔理沙がお客さんを連れてくるなんて珍しいわね」
魔理沙「そうだそうだ、こいつは幻想郷の外から来た人間だぜ」
向日葵「え、えっとボク秋乃向日葵っていいますっ」
パチュリー「元気な娘ね、私はパチュリー・ノーレッジ、魔理沙の妻よ」
魔理沙「いつの間に私は夫になったんだ?」
笑いながら魔理沙が言った。
魔理沙「っと、そんな冗談かましてる場合じゃないぜ。ちょっと本借りてくぜー」
パチュリー「あなたが借りた本をそろそろ返してほしいんだけど・・・」
パチュリーが言う前に魔理沙は闇のかなたへと消えていた。
ふぅ、とため息をついてパチュリーが向日葵をちらりと見た。
パチュリー「向日葵、幻想郷に来てからどれくらい経ってるのかしら?」
向日葵「え、えっと・・・さっき来たばっかりだから・・・」
パチュリーが何かを詠唱しはじめる。
するとパチュリーの手のひらに得体の知れないカラフルな色をした液体が出てきた。
とてもフルーティーな香りを漂わせているのが不思議だ・・・。
パチュリー「即席能力付与剤よ、これを飲めば幻想郷にいる間だけどあなたに幻想郷を生きていく能力が身につくわ」
向日葵「え、いいんですか?」
パチュリー「別に」
無表情の割にはやさしいんだなぁ。
向日葵はそう思って小瓶を手にしてコルクを抜いた。
向日葵「い、いただきます」
フルーティーな香りとはいえ液体の色に若干抵抗があった。
パチュリー「一気飲みしないと知らないわ」
一気にのどに液体を流し込む。
それと同時に向日葵の顔色が真っ青になった。
向日葵「っ!!!――――――――――――――――――っ!!」
パチュリー「それを乗り越えたら立派な能力保持者よ」
小悪魔がクスクスと笑いながら闇の中に向かうパチュリーの後ろを追った。
一人になるのもなんなので向日葵もその後を追った。
向日葵「・・・はぁ、死ぬかと思った。能力なんて本当についたのかな・・・」
パチュリー「ジャンプして飛べる!って思いなさい」
向日葵「え・・・あ、はい」
思いっきりジャンプして飛べると強く念じた。
・・・。
地面に足がつかない。
向日葵「わ、飛んでる!?」
わずかだが向日葵は宙に浮くことができた。
パチュリー「練習すればもっと浮くことができるわ。それとあなたについた能力は何かしらね」
小悪魔「何もついてないですよきっと」
ケラケラと小悪魔が笑うが向日葵とパチュリーはそれを無視して続けた。
向日葵「・・・おぉ!?」
無意識にファイアエンチャントを考えていたら手から火が出てきた。
というより出せるようになっていた。
マナがないこの世界でも自分の能力が使えるようになった(みたいだ)。
パチュリー「魔法が使えるのね。面白いわ」
パチュリーが向日葵に向けて手を伸ばし火の玉を飛ばした。
向日葵「なっ!?」
それをゴールデンモウルで防いだ。
するとゴールデンモウルに火が纏った。
パチュリー「私の魔法を自分の属性として付与するなんて・・・」
向日葵が得意とするエレメントデプリ。
炎、雷、氷のいずれかの属性を武器で防ぎ、後に自分の武器の一時的な属性にしてしまうという技である。
向日葵「・・・。ご、ごめんなさい!」
そのままハンマーを振るい炎をパチュリーに向けて飛ばす!
パチュリー「水符「プリンセスウンディネ」!!」
パチュリーの目の前から水柱が吹き出て炎を防いだ。
向日葵「雷の力よ!」
向日葵のハンマーに電気が帯びた。
そしてそのままパチュリーに向けて放つ!
パチュリー「雷・・・私じゃ扱えない技だけど・・・エメラルドシティ!!」
今度は地面から出てきた水晶の壁がパチュリーを守る!
向日葵「・・・ちょっと待って、なんでボクがパチュリーさんと戦わないといけないの!?」
パチュリー「面白いからよ、あなたが。 でもこれで決着をつけてあげる」
手にしていた本がバラバラと開き始める。
パチュリー「火炎の魔神よ、すべてを焼き尽くし我に道を示せ・・・日符「ロイヤルフレア」!!」
小悪魔「こあ!?」
向日葵「えっ・・・!?」
キィン、という短い音の後に爆発音と一緒に灼熱の炎がパチュリーを中心にして辺り一帯に広がる!
無論それは防ぐ術はない。
せめてダメージを軽減しようと向日葵は自分の体に炎を纏わせるが・・・。
パチュリー「・・・ロイヤルフレアを受けて立っていられるなんてやるわね」
向日葵「はっはぁっはぁっ、ロイヤルフレア・・・恐るべし・・・」
膝を突いてその場にへにゃりとしりもちをついた。
そこに丁度魔理沙が姿を現した。
魔理沙「お、おい人の大事なそざ・・・友達に何てことするんだ!」
パチュリー「・・・はっ、また私ったら何を、ごめんなさい向日葵」
向日葵「大丈夫、これくらい平気平気」
といってももうふらふらしていた。
向日葵を椅子に座らせ、パチュリーは"咲夜"の名を呼んだ。
すると音もなしに咲夜がその場に立っていた。
咲夜「はい、どうしました?」
――――十六夜咲夜。
この紅魔館のメイドで、主の吸血鬼に忠実。
ただし門番に対してはきつい態度をとる。
パチュリー「この子に紅茶を持ってきてあげなさい。それとアレを配合で」
咲夜「かしこまりました。すぐにお持ちいたします」
トランプを取り出し口に当てると姿を消し、トランプだけがその場に舞って地に落ちた。
向日葵「あ、あの人は手品師ですか?」
パチュリー「メイド長っていうらしいわよ」
咲夜「お持ちいたしました、今日はダムサリアの葉を使っております」
パチュリー「知らないけどありがとう。さ、飲みなさい」
咲夜に差し出された紅茶を向日葵が口にする。
向日葵「いただきまぁす。ごく、ごく・・・・ぷはぁ」
飲み終えた向日葵はそのまま机に突っ伏してしまった。
向日葵「すぅ、すぅ・・・」
咲夜「眠ったみたいです。どうなさいます?」
パチュリー「レミィの部屋にでも寝かせてあげなさい。きっとレミィは神社にいるだろうし」
咲夜「かしこまりました」
向日葵を担いで咲夜は大図書館を後にした。
魔理沙「割と気を使うんだなお前は」
パチュリー「当然のことよ」
彼岸。
冷次「・・・・・はっ、ここは!?」
飛び起きてまず目に入ったのは真っ赤な花畑。
彼岸花・・・だろうか。
女「映姫様そこはだめですよぉ・・・むにゃむにゃ」
冷次「!?」
気づけば隣に一人の女性がいた。
女にしてはだらしない寝方をしている・・・。
冷次「と、とりあえず失礼・・・ぐあっ!?」
彼女の寝返りに捕まり、抱き枕状態になってしまった。
・・・その際にむにむにとあたる大きな乳が背中を刺激した。
俺だって男だ、こういうことをされると頭の中が真っ白になる。
冷次はやばいと思いつつも腕を振り解くことはなかった。
そこへ・・・。
女「こぉ~まぁ~ちぃ~・・・」
また別の女性・・・女の子が地を這う低い声でそういった。
小町?「きゃんっ!?べべ、別にサボってなんかないですよ!少しいい日当たりだったからその・・・・わっはははははは!」
冷次「俺に言わないであの人に言ってくれ」
小町?「は・・・あんた誰?」
冷次「俺が聞きたい」
女「おや、また死人ですか」
死人、そうだ俺は死んだんだった。
じゃあここは天の川の手前だろうか?
小町?「そそ、そうです映姫様!この死人が転寝をしてたからついあたいも寝ちゃったわけで、だから釣ったこいつが・・・ぎゃん!?」
バシンとしゃくみたいな何かで小町の頭をたたいた。
四季映姫「言い訳はもういいですよ小町。で、あなたは・・・」
そういって巻物をくるくると開きながら何かを探し始めた。
四季映姫「秋乃冷次、ね。ここに来てから間もないっていうのに被弾して死亡。不注意が祟ったわね」
あの巻物に個人情報でも載ってるのだろうか。
冷次は首をかしげてそう思った。
四季映姫「そう不思議そうにしなくてもいいのです。私は四季映姫・ヤマザナドゥ、この幻想郷の閻魔です」
小町「あたいは小野塚小町、三途の河を渡る死神さ!」
冷次「・・・はぁ」
急展開についていけない冷次は目を丸くしていた。
四季映姫「それにしても・・・」
四季映姫が口を開く。
小町は「あっ、やば・・・」とこぼした。
四季映姫「あなたは妹思いすぎです、妹に夢中すぎて周りが見えてないことが多々あるようですね。ちゃんと注意しないからこういうことになったんですよ?いいですか、自分の身は自分で守る世界なんです、周りが見えていなかったらその時点でゲームセットなんですよ?例えるならどこかの夜雀が持っている夜盲「夜雀の歌」などのスペルカードですよ、周りが見えないから自分の反射神経を使うわけですよね?そういえばあなた反射神経がいいはずなのに何被弾してるんですか?割と鈍感ですか?なるほど、恋愛学園物の男主人公が乙女の恋心に気づかないアレと一緒ですね、わかります。女としてはホントあれは許せませんよ。私がもしヒロインなら率直に"好きなら好きって言ってください、じゃないと地獄に落としますよ?"と言いますよ、絶対。あぁでもやっぱり若干の鈍臭さが残ってないと話としては萌えないですよね。よくよく考えてみればそのほうがシチュエーション的にもおいしいですしうんたらかんたら・・・・」
それからどれくらい時間がたったのだろう。
気づけば三途の河の水平線に日は沈みかけていた。
それでもなお四季映姫の説教(?)は止まっていなかった。
四季映姫「・・・みに私はクドリ〇フカのルートが好きでした。決定的でしたねあの水牢に閉じ込められたときに脱出する際のあの子と主人公に感動しました・・・って私は何を話してるんだぁー!?」
小町「ぐかー・・・」
冷次「すぅすぅ・・・」
寝ている二人にカチンときた四季映姫が手にしていたしゃくで二人の方をバシィンとたたいた。
小町「ぎゃんっ!!?」
冷次「いづあっ!?」
四季映姫「ごほん。 さて、そろそろ本題に戻りましょうか」
四季映姫が仕切りなおしをして表情が一変し、真剣な表情となった。
四季映姫「冷次、あなたにもう一度チャンスを与えましょう」
冷次「本当か!?」
四季映姫「えぇ。ただしあなたには試練・・・いや、任務を与えます」
冷次「任務・・・別に出されたって無理でなければやる」
四季映姫「いい返事です、では任務を与えます」
To be continued...
あとがき
四季映姫株価大暴落中wwwwwwwwwwwwwwwwwww
いや、だがそのエイキッキが俺は好きだ!
んー、ちょっと今日は内容は薄いかな。
いつものことだけど。
ていうか終わり方が前回と似すぎている^q